【動画】【肩のゼロポジショントレーニング&ストレッチ】力強い投球と投球障害予防ために。
肩のゼロポジションで投げるためのストレッチ&トレーニング方法
今回は、投球動作で大切な肩の「ゼロポジション」がとれるようになるためのトレーニング方法をいくつかご紹介していきます。
肩のゼロポジションとは?
「肩のゼロポジション」とは、左の図のように、腕を上げたときに「上腕骨と肩甲骨の軸が一致した位置」のことです。
(引用:高岡英夫 肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!)
「ゼロポジション」は、肩関節が最も安定した状態と言われています。したがって、ボールリリースの際、このゼロポジションが自然にとれるように徹底していくことで、頻発する肩障害のリスクを軽減させることが出来ます。
逆に、ゼロポジションが上手くとれていない状態で投球動作を繰り返すと、肩を痛めることにつながります。
たとえば、次のレントゲン図のタイプB、C、Sの場合などです。
- Aは正常
- Bは角度が大きい(関節が不安定)
- Cは角度が小さい(可動域制限)
- Sは上腕骨が肩甲骨から滑り落ちてしまうくらい不安定(スリッピング現象)
インナーマッスルの筋力バランスが悪かったり、肩関節周囲の筋肉が硬くなっていたり、肩甲骨の動きが悪かったり、関節が不安定だったりすると、このような状態になります。
ゼロポジション、とれていますか?
通常、ゼロポジションが取れているかどうかはレントゲンで確認するため、体表からチェックするのは難しいですが、簡易的にチェックする方法があります。
簡易的なゼロポジションチェック法
脱力した状態から頭の後ろに手を置かせます。そこからそのまま肘を伸ばさせましょう。自然とゼロポジション付近になっているはずです。この位置がずれていたり、左右の腕の位置が大きく違っていたりした場合は、正しい可動域が確保できていないということになります。
柔軟性のセルフチェック
肩まわりの柔軟性が低下していると、ゼロポジションのタイプCになりやすいです。肩の柔軟性を検査する専門的なテストとして
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という方法がありますが、ここではセルフでチェックできる2つの方法を紹介します。
セルフCAT(複合外転テスト) |
セルフHFT(水平内転テスト) |
(参考:森原徹ら パフォーマンスUP! 運動連鎖から考える投球障害~診察室からグラウンドまでをつなぐアプローチ~)
ゼロポジションをとるためのコンディショニング
ゼロポジションで投げられない主な理由には、次のようなことがあります。
- インナーマッスルの筋力低下
- 筋バランスの乱れ
- 肩甲骨周りの筋力低下
- 肩関節が不安定
- 肩まわりや胸まわりの筋肉が硬くなっている
このような点が改善できれば、ボールリリースでのゼロポジションがとりやすくなり、肩の負担が少なく投げられるようになります。
肩まわりのストレッチ
セルフチェック(CAT、HFT)で硬さが見られた場合は、ストレッチをしっかり行いましょう!
広背筋、三角筋(後部)
スリーパーストレッチ(肩後方)
パートナーストレッチ
インナーマッスルを鍛える
インナーマッスルは肩関節を安定させる役割があります。
インナーマッスルのバランスを整える基本の三種類
内旋(肩甲下筋)
外旋(棘下筋)
初期外転(棘上筋)
ゼロポジションに近い位置で
うつぶせセラバンド&ペットボトル(外旋筋)
肩甲骨周囲の筋肉を鍛える
肩甲骨をしっかりと動かせることも大切です。アウターマッスルの強化です。
ゼロポジションでリリースポイントをするためのトレーニング
四つ這いゼロポジションでシャッフル(ペットボトルを持って)
腕立て姿勢から片手でゼロポジションをキープ
ゼロポジションでひじ曲げ伸ばし(セラバンド)
ゼロポジションでペットボトルを前後にシャッフル
ボールリリースの位置でタオルをたたく
まとめ
ゼロポジションを意識したトレーニングをすることで、投球フォームが安定し、力強いボールリリースができるようになります。投球障害予防にもなりますので、参考にしてみてくださいね!
参考文献
- 外間伸吾/投球障害肩治療に関節不安定性が与える影響/肩の運動機能研究会・2013
- 原正文/投球障害肩のリハビリテーション治療/The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine・2018
- 森原徹ら/運動連鎖から考える投球障害/全日本病院出版会
- 弘田雄士/肩を中心とした投動作におけるチェック方法と改善アプローチ(2)/Training Journal 2011
- 高岡英夫/肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!/カイゼン